基礎知識

宇都宮の不妊治療、助成金は初回45万円——戻ってくるお金の5つをまとめました

💰 お金の話/栃木・宇都宮の制度まとめ
窓辺のテーブルに置かれた通帳と電卓、封筒や書類、湯のみの水彩イラスト

不妊治療のお金は、払うだけではありません。戻ってくるお金があります

わたしは41歳から43歳まで治療を受け、窓口で払った自己負担は約73万円でした。ただ、これは払った額です。

ここから1回目の採卵だけで生命保険から30万円が戻り、高額療養費も2ヶ月分を受け取りました。最終的に、戻ってきた額のほうが多くなっています

この記事では、栃木・宇都宮で使えるお金の制度を5つに分けてまとめます。知らないまま治療を終えれば、そのぶんは戻ってきません。

1. お金の話は、5つに分けて考えます

💰 押さえるのは、この5つ

  • ① 保険適用——窓口の支払いが3割になる。年齢と回数に条件あり
  • ② 市の助成金——宇都宮市は初回45万円まで。申請しないと出ません
  • ③ 高額療養費——1ヶ月の自己負担が上限を超えたぶんが戻る
  • ④ 生命保険——契約によっては採卵や移植が給付の対象になる
  • ⑤ 医療費控除——確定申告をすると、税金が戻ることがある

①は窓口で自動的に適用されます。でも②から⑤までは、自分から動かないと1円も戻りません。ここが分かれ目です。

2. ①保険適用——「43歳の壁」は誕生日で切れるわけではない

2022年4月から、体外受精や顕微授精が保険適用になりました。窓口の支払いは3割です。

条件は年齢と回数。よく聞くのが「43歳まで」という話です。ただ、この区切り方には続きがあります。

📝 年齢と回数の条件(執筆時点・わたしの理解)

  • 年齢の条件は「治療計画を作った時点で43歳未満」
  • 治療計画書は約6ヶ月有効。誕生日前に計画ができていれば、43歳になってもその計画にもとづく治療は保険で続けられる
  • 移植の回数上限は、40歳未満なら通算6回、40〜43歳未満なら通算3回

わたしは採卵周期の途中で43歳になりましたが、誕生日前に計画ができていたため、保険のまま続けられました。誕生日が近い方は、計画を作るタイミングを早めに相談してみてください。※制度は変わることがあります。必ずクリニックにご確認ください。

このあたりは43歳で保険適用のまま治療を続けた話にくわしく書いています。

3. ②宇都宮市の助成金——初回45万円。でも要件を見落としがちです

ここがいちばん大きいお金です。宇都宮市は、保険適用に上乗せする独自の助成制度を持っています。

初回自己負担の10割・上限45万円
2回目以降保険適用分を除く自己負担の7割・上限30万円
回数夫婦ごとに通算6回まで
年齢治療開始日時点の妻が42歳以下
対象の治療体外受精・顕微授精・男性不妊治療(先進医療も対象
申請期限治療が終わった日から1年以内

初回は45万円まで10割。採卵1回の自己負担がおおよそ10万円前後ですから、これは相当に大きい金額です。

⚠️ 見落としやすい要件があります

宇都宮市の制度に所得制限はありません。そのかわり、対象要件に「市税に滞納がないこと」が入っています。ここは意識していないと気づきにくいところ。申請してから分かると、時間も気持ちも消耗します。先に確認しておくと安心です

年齢の数え方も見ておいてください。「治療開始日時点で42歳以下」——申請したときの年齢ではありません。

保険適用の条件は「治療計画を作った時点で43歳未満」。42歳以下と43歳未満は、同じ年齢を指します。違うのはいつの時点で数えるかです。誕生日が近い方は、この基準日の違いで結果が変わることがあります。

制度の中身は市町ごとに違います。宇都宮市以外にお住まいの方は、お住まいの市町の窓口で確認してくださいね。最新の条件は宇都宮市の公式ページでご確認ください(執筆時点の情報です)。

4. ③高額療養費——採卵の月と移植の月は、超えているかもしれません

1ヶ月の自己負担が上限を超えると、超えたぶんが戻ってきます。上限は収入によって変わります。

わたしが治療していたころ、わたしの区分の上限は月57,600円でした。実際に採卵をした月と、その翌々月の2ヶ月分を申請して受け取っています

📢 2026年8月から、上限額が変わりました

この制度は2026年8月に改正されています。月の上限が引き上げられ、あわせて年間の上限が新しくつくられました

年収の目安〜2026年7月2026年8月〜
約370万円未満57,600円61,500円
約370〜770万円80,100円+α85,800円+α
住民税非課税35,400円36,900円

負担は少し増えます。さらに2027年8月には、区分がもっと細かく分かれる予定です。治療が年をまたぐ方は、いま自分がどの区分なのかを確認しておいてください

📝 気をつけたい3つのこと

  • 自費は対象外。先進医療や、妊娠判定後の診察は含まれません
  • 1ヶ月ごと・病院ごとの計算。月をまたぐと合算されません
  • 請求できるのは、診療した月の翌月から2年間。ここが落とし穴です

とくに3つ目。忘れているうちに期限が来ます。わたしも、東京のクリニックの分をしばらく申請し忘れていました

もうひとつ、知っておくと得なのが多数回該当です。直近12ヶ月に3回以上上限に達すると、4回目からは上限そのものが下がります。44,400円で、これは今回の改正でも据え置かれました。採卵と移植を続けている方は、当てはまる可能性があります。

ただし、窓口から教えてくれるとはかぎりません。こちらから聞いてみてください

上限額も手続きも、加入している健康保険によって違います。保険証に書いてある窓口に電話するのが、いちばん早い確認方法です。

5. ④生命保険——請求しなければ、1円も戻りません

これは、知らない人がいちばん多いところだと思います。

わたしがこのことを知ったのは、SNSでたまたま見かけたからでした。加入していた女性向けの医療保険が、不妊治療の給付に対応していたんです。

いくら戻るのかも分からないまま、1回目の採卵が終わったあとに請求してみました。

💬 結果は、30万円

正直、びっくりしました。わたしの契約では採卵・移植・先進医療が対象になっていて、思っていたよりずっと手厚く出たんです。

そして1回きりではありませんでした。そのあとの採卵でも移植でも、そのつど給付を受けることができたんです。結果として、受け取った総額は自己負担を上回りました

ただし、この保険は不妊治療が保険適用になる前に作られた商品で、いまは新規で加入することができません。給付の内容は、契約した時期や特約によってもまったく違います。同じ会社の保険でも、条件が同じとはかぎりません。

⚠️ 治療を始めてからの加入では、給付されないことがほとんどです

医療保険には、加入前からある病気や、すでに受けている治療は給付の対象外という決まりがあります。不妊治療も同じです。すでに通院を始めてから加入しても、そのあとの採卵や移植は対象にならないことがほとんど。

さらに、申し込みのときには過去の通院や治療を正しく申告する義務があります。これを伏せて契約すると、あとで給付が受けられないだけでなく、契約そのものが解除されることもあります。「治療のために入る」という考え方は、しないでくださいね。

だから、やることはひとつだけです。

いま入っている保険の証券を、出してみてください。 保険会社から「対象ですよ」と連絡が来ることはありません。請求して、はじめて動くお金です

確認先は、契約している保険会社のコールセンターです。「不妊治療の採卵と胚移植は、給付の対象になりますか」——この一言で通じます。

6. ⑤医療費控除——確定申告で、税金が戻ることがあります

最後は、税金の話です。1年間に払った医療費が一定額を超えると、確定申告でその分だけ所得が減り、税金が戻ってきます

目安は年間10万円(所得が200万円未満の方は所得の5%)。不妊治療を1年続ければ、多くの方が超える金額です。

そして大事なのが、生計を同じくする家族の医療費は合算できるということ。夫の検査や治療にかかった分も、いっしょに計算できます。ふたりで受ける治療だからこそ、ここは見落とさないでください。

📝 対象になるもの・ならないもの

  • 対象になる:人工授精・体外受精・顕微授精の費用、処方された薬代
  • 対象になる通院の交通費(電車・バスなど。付き添いの分も条件つきで可)
  • 原則ならない:自家用車のガソリン代・駐車場代、タクシー代(緊急時などを除く)
  • 原則ならない:病気の治療にあたらないサプリメントなど

栃木から東京へ通っていたわたしのように、遠方に通院している方は交通費が積み上がります。領収書のない電車代も、日付・行き先・金額をメモしておけば認められます。

⚠️ 受け取った保険金や助成金は、差し引きます

生命保険の給付金や市の助成金を受け取った場合、その分は医療費から引いて計算します。給付が大きければ、控除できる額が残らないこともあります。

ただし引くのは、その給付の対象になった治療費からだけ。ほかの病気やけがの医療費まで引く必要はありません。ここを勘違いすると、損をします。

そしてもうひとつ。医療費控除は5年前までさかのぼって申告できます。「あのとき出し忘れた」という方も、まだ間に合うかもしれません。

くわしい条件は国税庁のページで確認できます。判断に迷うときは、お住まいの税務署に電話で聞くのが確実です。

7. わたしの場合、実際にいくらかかったか

参考までに、41歳10ヶ月から43歳までの自己負担を載せておきます。

宇都宮のクリニック(通院34回)376,978円
東京のクリニック(治療〜移植)341,740円
東京のクリニック(判定後〜卒業)14,460円
合計733,178円

採卵5回、移植3回で約73万円。すべて保険適用での自己負担額です。交通費・宿泊費、夫の費用は含みません。

わが家は助成制度を使っていないので、この73万円はそのままの負担でした。それでも、生命保険と高額療養費で戻ってきた額のほうが、最終的には多くなっています

同じ治療を受けても、手続きをするかどうかで、残る負担はまったく変わります。ここが、いちばん伝えたいところです

治療の中身と時系列は41歳から43歳までの全記録にまとめています。

8. まとめ——今日できることは、4つあります

どれも、電話1本から始められます。治療のことで頭がいっぱいのときに、お金の手続きまで考えるのは大変です。それでも、あとから「知らなかった」と悔しい思いをするより、先に確認しておくほうが心は軽くなります。

※この記事は執筆時点(2026年8月)の情報です。制度は変わります。金額や条件は、必ず公式の窓口でご確認ください。

41歳から43歳までの全記録(費用の内訳つき)

栃木で通ったクリニックの話

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