体験記

東京で初めての移植——「その日は動かせません」と言われて【体験談】

📖 体験記㉓/43歳・東京で初めての移植のお話

3回目の採卵でようやく凍結できた、たった1個の胚。いよいよ、それをお腹に戻す日がやってきます。

KLCで初めての移植周期。採卵とはまるで違う「楽さ」に驚いた一方で、仕事との衝突という、いちばん大きな壁にもぶつかりました。

1. 6月1日、移植周期がスタート

6月1日、生理3日目に受診。ここから移植周期が始まりました。この日の会計は92,330円。前回同様、採卵周期ぶんの費用がまとめて含まれています。

2. 「移植日は、動かせません」

6月11日、夜勤前に受診(会計3,170円)。ここで移植日が6月18日に決定しました。

——でも、その日は仕事の都合が、どうしても悪い日でした。

採卵のときは、少しなら日程をずらしてもらえたことがあります(もちろん、卵が育ちすぎたり排卵してしまうリスクは説明されたうえで)。だから今回も、と思ったのですが。

移植は、きっぱりダメでした。「その日に来られないなら、次の周期にしましょう」

💬 そんなこと、簡単にできるわけない

次の周期に、なんて。簡単に言わないでほしい——正直、そう思いました。ここまでどれだけの時間とお金と身体を懸けてきたか。1ヶ月先延ばしにすることが、40代のわたしにとってどれだけ大きいか。仕事のシフトは、交渉するしかない。そう腹をくくりました。

ただ、ひとつ問題がありました。わたしは職場に、不妊治療のことを伝えていません。だから「治療で休みたい」とは言えない。

結局、「用事があったのを忘れていて……」と伝えて、シフトを交換してもらいました。快く代わってくれた同僚には、心のなかで何度も手を合わせました。

📝 移植日は「ずらせない」と思っておく

移植日は、子宮内膜の状態にぴったり合わせて決まります。だから採卵以上に、日程の融通がききません。仕事をしながら治療する方は、「移植の時期はいつごろになりそうか」を早めに先生に聞いて、心の準備をしておくと安心です。※進め方はクリニックによって違います。

3. 移植周期は、驚くほど楽だった

いざ始まってみると、移植周期はびっくりするほど身体が楽でした。

宇都宮のときは、移植に向けて膣剤(膣坐薬)を使う準備があって、時間の管理がとにかく大変でした。それがKLCでは、膣剤もありません。採卵周期のような注射もなく、通院の回数も少ない。

「本当に、身体の負担は少ないんだな」——採卵のあの大変さと比べると、拍子抜けするほどでした。

4. 6月18日、移植当日——待ち時間は新宿さんぽ

当日の受付は8時〜9時。まず採血をして、問題がなければ午後に移植という流れです。

つまり、お昼をはさんで、かなり時間が空きます。わたしはその時間で、新宿サブナードでお昼を食べて、少し買い物をして過ごしました。人生を左右するかもしれない日に、地下街でごはんを食べている——不思議な感じでしたが、そのくらいがちょうどよかったのかもしれません。

この日の会計は4,100円でした。

5. お腹に戻した胚のこと

移植のとき、胚の情報が書かれた用紙をもらえます。わたしの1個は、こんな胚でした。

受精方法IMSI
発育ステージ孵化胚盤胞
胚盤胞になった時間117時間(5日目胚盤胞)
胚盤胞の大きさ160μm
アシステッドハッチングあり
形態的評価2(良い)
総合評価C
子宮内膜12mm

📝 用紙の言葉(わたしなりの理解)

  • 孵化(ふか)胚盤胞:胚が殻から出てきている段階。着床の準備が進んだ状態
  • アシステッドハッチング:着床しやすいよう、胚の殻に処置をする方法
  • 形態的評価:見た目の評価。1=とても良い/2=良い/3=普通
  • 総合評価:クリニックの基準による総合判定(AからEまで)

※評価の基準・呼び方はクリニックによって異なります。数字の意味は必ず主治医にご確認ください。評価はあくまで目安で、結果は個人差が大きいものです。

移植そのものは、無事に終わりました。処置は短時間で、痛みもほとんどありません。

ベッドの上で感じたのは——やっと、卵をお腹に戻せた。その一点でした。3回の採卵、2回の培養中止を越えて、ようやくここまで来た。うれしさが、いちばん大きかった。

6. でも、新宿の「終わり」も見えていた

うれしさの一方で、頭の隅にはずっと現実がありました。この移植が、保険適用で受けられる最後の1回だということ。

これがだめだったら、次からは自費になります。凍結してある胚は、もうありません(残りの凍結胚は0個でした)。

自費になったら、どうする? 栃木に戻る? 東京で別のクリニックに移る? それともKLCで続ける?——答えの出ない問いを抱えて、毎日スマホで検索しては悩んでいました

7. 移植周期でかかったお金(実費)

💰 KLC・移植周期の実費メモ(わたしの場合・保険適用)

  • 周期スタート(6月1日・生理3日目):92,330円(採卵周期ぶんの費用を含む)
  • 移植日の決定(6月11日・夜勤前に受診):3,170円
  • 移植当日(6月18日):4,100円
  • 合計:99,600円(+交通費)

※2025年当時、保険適用でのわたしの支払い額です。治療内容・時期によって変わるので、一例として参考にしてください。

8. まとめ——判定の日を待つ

やっと、お腹に戻せた。あとは、判定を待つだけです。

この移植の結果——次の記事で書きますね。

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