東京で初めての移植——「その日は動かせません」と言われて【体験談】
3回目の採卵でようやく凍結できた、たった1個の胚。いよいよ、それをお腹に戻す日がやってきます。
KLCで初めての移植周期。採卵とはまるで違う「楽さ」に驚いた一方で、仕事との衝突という、いちばん大きな壁にもぶつかりました。
1. 6月1日、移植周期がスタート
6月1日、生理3日目に受診。ここから移植周期が始まりました。この日の会計は92,330円。前回同様、採卵周期ぶんの費用がまとめて含まれています。
2. 「移植日は、動かせません」
6月11日、夜勤前に受診(会計3,170円)。ここで移植日が6月18日に決定しました。
——でも、その日は仕事の都合が、どうしても悪い日でした。
採卵のときは、少しなら日程をずらしてもらえたことがあります(もちろん、卵が育ちすぎたり排卵してしまうリスクは説明されたうえで)。だから今回も、と思ったのですが。
移植は、きっぱりダメでした。「その日に来られないなら、次の周期にしましょう」。
💬 そんなこと、簡単にできるわけない
次の周期に、なんて。簡単に言わないでほしい——正直、そう思いました。ここまでどれだけの時間とお金と身体を懸けてきたか。1ヶ月先延ばしにすることが、40代のわたしにとってどれだけ大きいか。仕事のシフトは、交渉するしかない。そう腹をくくりました。
ただ、ひとつ問題がありました。わたしは職場に、不妊治療のことを伝えていません。だから「治療で休みたい」とは言えない。
結局、「用事があったのを忘れていて……」と伝えて、シフトを交換してもらいました。快く代わってくれた同僚には、心のなかで何度も手を合わせました。
📝 移植日は「ずらせない」と思っておく
移植日は、子宮内膜の状態にぴったり合わせて決まります。だから採卵以上に、日程の融通がききません。仕事をしながら治療する方は、「移植の時期はいつごろになりそうか」を早めに先生に聞いて、心の準備をしておくと安心です。※進め方はクリニックによって違います。
3. 移植周期は、驚くほど楽だった
いざ始まってみると、移植周期はびっくりするほど身体が楽でした。
宇都宮のときは、移植に向けて膣剤(膣坐薬)を使う準備があって、時間の管理がとにかく大変でした。それがKLCでは、膣剤もありません。採卵周期のような注射もなく、通院の回数も少ない。
「本当に、身体の負担は少ないんだな」——採卵のあの大変さと比べると、拍子抜けするほどでした。
4. 6月18日、移植当日——待ち時間は新宿さんぽ
当日の受付は8時〜9時。まず採血をして、問題がなければ午後に移植という流れです。
つまり、お昼をはさんで、かなり時間が空きます。わたしはその時間で、新宿サブナードでお昼を食べて、少し買い物をして過ごしました。人生を左右するかもしれない日に、地下街でごはんを食べている——不思議な感じでしたが、そのくらいがちょうどよかったのかもしれません。
この日の会計は4,100円でした。
5. お腹に戻した胚のこと
移植のとき、胚の情報が書かれた用紙をもらえます。わたしの1個は、こんな胚でした。
| 受精方法 | IMSI |
| 発育ステージ | 孵化胚盤胞 |
| 胚盤胞になった時間 | 117時間(5日目胚盤胞) |
| 胚盤胞の大きさ | 160μm |
| アシステッドハッチング | あり |
| 形態的評価 | 2(良い) |
| 総合評価 | C |
| 子宮内膜 | 12mm |
📝 用紙の言葉(わたしなりの理解)
- 孵化(ふか)胚盤胞:胚が殻から出てきている段階。着床の準備が進んだ状態
- アシステッドハッチング:着床しやすいよう、胚の殻に処置をする方法
- 形態的評価:見た目の評価。1=とても良い/2=良い/3=普通
- 総合評価:クリニックの基準による総合判定(AからEまで)
※評価の基準・呼び方はクリニックによって異なります。数字の意味は必ず主治医にご確認ください。評価はあくまで目安で、結果は個人差が大きいものです。
移植そのものは、無事に終わりました。処置は短時間で、痛みもほとんどありません。
ベッドの上で感じたのは——やっと、卵をお腹に戻せた。その一点でした。3回の採卵、2回の培養中止を越えて、ようやくここまで来た。うれしさが、いちばん大きかった。
6. でも、新宿の「終わり」も見えていた
うれしさの一方で、頭の隅にはずっと現実がありました。この移植が、保険適用で受けられる最後の1回だということ。
これがだめだったら、次からは自費になります。凍結してある胚は、もうありません(残りの凍結胚は0個でした)。
自費になったら、どうする? 栃木に戻る? 東京で別のクリニックに移る? それともKLCで続ける?——答えの出ない問いを抱えて、毎日スマホで検索しては悩んでいました。
7. 移植周期でかかったお金(実費)
💰 KLC・移植周期の実費メモ(わたしの場合・保険適用)
- 周期スタート(6月1日・生理3日目):92,330円(採卵周期ぶんの費用を含む)
- 移植日の決定(6月11日・夜勤前に受診):3,170円
- 移植当日(6月18日):4,100円
- 合計:99,600円(+交通費)
※2025年当時、保険適用でのわたしの支払い額です。治療内容・時期によって変わるので、一例として参考にしてください。
8. まとめ——判定の日を待つ
- 6月1日に移植周期スタート。移植日は6月18日に決定
- 移植日は動かせない。職場に治療のことは言えず、「用事を忘れていて」とシフトを交換してもらった
- 移植周期は驚くほど楽だった(膣剤もなし・注射もなし)
- 当日は朝受付→採血→午後に移植。空き時間は新宿サブナードで過ごした
- 戻したのは孵化胚盤胞1個。残りの凍結胚は0個——保険適用で受けられる最後の移植
やっと、お腹に戻せた。あとは、判定を待つだけです。
この移植の結果——次の記事で書きますね。